JSK通信

「私が悪い」

代表取締役 上能 喜久治

 

労務問題発生の本質は・・・

 

 昭和63年7月1日に6坪の事務所で開業して以来、26年が過ぎました。今から振り返れば順風満帆のように見えますが実際は苦難の連続でした。信頼していた部下の不正事件、6名の一挙退職事件、労働組合結成事件etc.当時はそのような社員を責め、非難し、嘆いていました。怒りや憎しみ、悔しさが私の心の中で渦巻いていました。そこにあったのは「私は正しい」という思いでした。

 しかし、私が今、思うのは「私が悪い」という心からの反省と謝罪です。当社を辞めていった部下や労働組合を作った社員が悪いのではなく、彼らをそのようにしたのは全てトップである私の言動や行動が原因であった、ということに気付きました。

 そのような社員を採用し、教育していったのは他の誰でもなく、この私なのです。私と社員とのコミュニケーションの不足であり、お互いの信頼の欠如です。もっと彼らを理解して、信頼して、労いの言葉をかけていればそのような結末にはなっていなかった、と思うと残念でなりません。

 その頃以上に昨今はサービス残業や過酷労働に対する世間の目は厳しさを増しています。深夜一人労働などでブラック企業と名指しされた外食産業の会社には採用活動をしても応募者がなく、多くの店で閉店や休業を余儀なくされています。

 

 

最善の解決策は“ツミの自覚”

 

 得意先からいただいた手形が不渡りになりました。誰が悪いのでしょうか?手形を振出し、不渡りにした会社でしょうか?いいえ、不渡りになることを見抜けなかったあなたが悪いのです。

 夫婦・親子・兄弟が不仲であるのも相手を責め、あるいは嘆いても何も解決しません、解決に導く最良の方法は「私が悪い」と土下座し、詫びることです。

 

 

幾日幾夜父母にひれ伏し、夫にぬかづき、否、妻の前に全身をひれ伏し、子に首を垂れ、弟子に詫び、行員に誓う。わび、あやまり、罪悪のことごとくを放逐する。その時、身分年齢の高下をこえて、相手を無上に敬って、ただ涙をそそぎ、至情を吐露する。

この時、あらゆる我情は、洗いさられた明澄至純の心境に達する。家が変わり、環境が変わり、人が変わる。(丸山敏雄)

母を偲んで

代表取締役 上能 喜久治

 

父の生誕100年を前に・・・

 

 去る7月4日に私の母が93歳で亡くなりました。死因は老衰でした。痛みも苦しみもなく、眠るがごとくあの世に逝きました。母が75歳の時、一緒に富士山に登りました。80歳を過ぎるまで畑仕事をしていました。母がつくるエンドウ豆はやわらかく、甘くて、それを使って炊くエンドウご飯は最高でした。

 両親は戦時中に見合い結婚し、父はすぐに召集され、満州に赴きました。八路軍やソ連と戦った話を何度か父から聴きました。父が属していた連隊の隊長がすばらしい人でその部隊から誰一人としてシベリアに抑留された人はいなかったそうです。

 その父も私が30歳の時に他界しました。父は大正3年9月4日生まれで今年が生誕100年にあたります。なんと母も同じ9月4日生まれで今年の9月に94歳になるところでした。そこで9月4日に私たち子供3人、孫7人、ひ孫らがみんな集まって父の生誕100年と母の94歳の誕生日をお祝いしよう、という企画を立てていました。その矢先の母の死でした。

 

 

親の愛は無償の愛

 

 先日、一般社団法人倫理研究所の富士高原研修所において開催された経営者セミナーを受講してきました。二泊三日のセミナーの中で「恩の遡源」の講義がありました。一枚の紙が受講生に配られました。その用紙には縦に「幼年期・少年期・青年期」と書いてありました。その用紙の横に「あなたが親からしていただいたこと・あなたが親にしたこと」とありました。「いまからその用紙に記入してください。」と講師の先生が言いました。親からしてもらったことはすぐに書くことができ、その用紙の空白部分が埋まりました。ところが、自分が親にしたことの欄にはほとんで何も書けないのです。幼年期・少年期・青年期と親から多くのことをしていただきながら自分は親にはほとんど何もしていないことにその用紙を前にして痛いほど気付きました。ある一人の受講生はその用紙を前にして号泣しました。「親は自分に多くのことをしていただいたのに自分は何もしなかった。申し訳ない。すいません・・・。」

 今の自分があるのは私を産み、育てていただいた親のお蔭です。その両親はもうこの世にいません。これからは親からいただいた愛に対して恩返しするのは家族であり、社員であり、お客様であり、取引先であり、地域の人であり、すべての人・物に対してです。

 

 

最後に次の二つの言葉を亡き母に捧げます。

  1. お腹を痛めて私を産んでいただき、心から感謝します。

  2. あなたが母で私は最高に幸せです。

挨拶・清掃・話しかけ!

代表取締役 上能 喜久治

 

知らない人に・・・

 

 先日、新幹線で静岡県の掛川駅近くの会社に行く途中でのことです。小学校の下校時で多くの小学生が向こうから歩いてきました。その小学生の何人かが「こんにちは!」と知らないおっさんである私に対して挨拶したのです。私は驚きながらも「こんにちは!」と挨拶を返しました。すると次々と向こうからやってくる小学生が挨拶するのです。それだけではなく、向かいの歩道を歩いている小学生までもがこちらの方を見て「こんにちは!」と声をかけてきました。“この地域はすごいなあ!知らない人にも挨拶をする!”と少しの驚きと大きな感動を覚えました。私が住む大阪では残念ながらこのような光景を見ることがありません。「知らない人から声をかけられたら逃げなさい。」とでも学校や親から教えられているのでしょうか?だから私も知らない子供には挨拶をしません。いろんな事件が起こり、知らない人を警戒することがそのような事件を防ぐことに繋がっているのかも知れません。

 ハイキングや登山ですれ違う人に「こんにちは!」と言って挨拶を交わします。そして「頂上まであと何分ぐらいですか?」と尋ねたりします。ただそれだけで心がさわやかになります。自然の中で知らない人との挨拶や話しかけは心地よいものです。

 私が住むマンションでも「おはようございます!」「こんにちは!」「こんばんは!」と声をかけます。すると多くの人から挨拶が返ってきます。フロントや警備員さんも積極的に話しかけてくれます。このことが防犯にも大きく役立っています。

 

 

誰でも感謝されると嬉しい!

 

 当社では毎月一日を地域清掃デーとして全員で朝、掃除をしています。多くの通行人がいますが残念ながらその時に声をかけられたことはほとんどありません。「朝から御苦労さまです!」とか「きれいにしていただいてありがとうございます!」とかの声をかけられたら私だけでなく社員がどれだけ喜ぶことでしょうか?逆の立場で我が社の前や横を毎朝、掃除して頂いている向かいのマンションの管理人のおじさんがいます。そのおじさんに私はいつも次のように言っています。「いつも掃除をしていただいてありがとうございます!」するとそのおじさんはうれしそうに話しかけてくれます。

 あなたが駅やホテルのトイレで掃除のおばさんを見かけた時、是非、一声をかけて上げてほしいのです。「いつもきれいにしていただいてありがとうございます!」と・・・。その掃除のおばさんはどんなに喜ぶことでしょうか?あなたが一声、感謝の言葉をかければ次にそのトイレを利用する時、きっとあなたは気付くはずです。「このトイレ、随分きれいになったなあ!」と・・・。

あなたの感謝の一言が地域を美しくします。

税制改正に対する私の提言!

代表取締役 上能 喜久治

 

税金はどこに支払うのか?

 

 個人の確定申告の時期は終了しましたが今月の五月は三月決算法人の納税月です。アベノミクス効果が浸透してきた影響もあり、建設業・製造業・運送業等から業績が改善しています。企業業績が上がれば納税額も多くなっていきます。業績が赤字であれば法人税は発生しませんが税務上の繰越欠損金がなくなれば当然に納税する必要が出てきます。節税することは大事なことですが納税することも大事なことです。適正な納税は銀行や取引先から信頼が得られます。納税額の大きさを嘆く前に利益額の大きさを喜びたいものです。そして支払うその税金は誰に支払うのでしょうか?中国や北朝鮮に支払うのではありません。私たちが暮らすこの美しい日本という国に支払うのです。私たちが生れ育った市町村や都道府県に支払うのです。そして税金は“取られる”のではありません。喜んで感謝して支払いたいものです。

 

 4月から消費税が8%になりました。来年の10月からはその消費税が10%になる予定です。来年から所得税も相続税も贈与税も最高税率が従来の50%から55%になります。ただ法人税率だけは更に下がる予定です。国際的に見て日本の法人税率は高いので日本企業の国際競争力が低くなります。それを是正するため法人税率を下げよう、という動きになっています。国・地方の借金残高が1000兆円を超えた現状からすれば増税やむなし、ということになります。

 

 

沖縄を経済特区に!

 

 税制にはその時の政権の政策が強く反映されます。安倍首相が沖縄の普天間基地移転問題の解決を図るために仲井真知事との会談で毎年、3000億円を超える交付金支給を約束しました。しかし、残念ながらお金を渡したところで雇用が増え、日本一の失業率が改善される訳ではありません。今こそ沖縄を経済特区に指定して思い切って税率を下げるのです。

法人税 15%

所得税 15%

相続税 15%

 

そうすることで世界中から優良企業が沖縄に来ます。沖縄は香港やシンガポールを上回る一大金融センターとなります。また世界中から資産家がやってきます。税率を下げることは税収の悪化を招くということはありません。いや、むしろ税収は増えるのです。戦時中、沖縄だけが地上戦となり、多くの戦死者を出しました。イギリスにおけるマン島のように沖縄を経済特区にして雇用を増やし、経済が活性化することは日本の防波堤となった沖縄に対してせめてもの恩返しであり、感謝の心を形にするものではないでしょうか?

挫折を知れば強くなる!

代表取締役 上能 喜久治

 

まさかの4位・・・

 

 ソチ冬季オリンピックで金メダル確実と言われた女子ジャンプの高梨沙羅が4位に終わり、メダルを逃しました。日本中の期待を一身に集めた17歳の彼女にはそれが大きな重圧になっていたのでしょうか?

 試合前のインタビューで彼女はいつも今までお世話になった人たちへの感謝の言葉を述べていました。その言葉を聴いて私は大きな感動を覚えました。「17歳の女の子がそのようなことが言えるのはすごい。」そして多くの日本中の人々と同様に大きな声援を送っていました。それが何と・・・。

 女子柔道界でヤワラちゃんと言われた谷亮子(旧姓 田村亮子)も同じような経験をしています。金メダルが期待された最初のオリンピック(バルセロナ)では銀メダルでした。その時、谷も高梨と同じように高校生でした。その次のオリンピック(アトランタ)も金メダルの大きな期待をされながらまたもや銀メダルに終わりました。その時の悔しさが大きなバネとなって三回目のオリンピック(シドニー)でやっと念願の金メダルを取った彼女は4回目のオリンピック(アテネ)でも金メダルを連取します。

 

 

メダルが取れなくてよかった!?

 

 人生も会社も順風満帆とは行きません。逆風や失敗、挫折や苦難を乗り越える度に人は大きく強くなっていきます。また他人の痛みや苦しみのわかる人に成長していきます。

 私も22歳の時、大きな挫折を味わいました。学生時代の農場経営の夢を実現すべく滋賀県で会社を設立し、土地を取得しました。それからしばらくして「畜産公害反対!」の署名運動が湧きおこり、その計画は中断せざるを得なくなりました。しかし、その時の大きな挫折がその後の私の人生に於いてものすごくいい経験になりました。どんなことが起きようと何でもないのです。何があろうと、何が起ころうと動じることのない自分になりました。つまり、あの22歳の時の大きな挫折が私を強くしてくれました。

”かわいい子には旅をさせろ!”と言います。若い時に失敗や挫折を経験することはその人を強く逞しくします。

 残念ながら高梨沙羅はこの冬季オリンピックでは4位に終わりました。このことは今後の彼女の人生にとってすばらしい経験になった、と思っています。悔しさを味わいました。挫折を知りました。この体験を乗り越えてアスリートとして、人間として大きく成長することでしょう。4年後・8年後の冬季オリンピックでは表彰台の一番高いところに彼女が立ち、君が代が流れている姿が見えます。

 

 今年の当社のカレンダーには次の言葉が書かれています。

苦難のない人生は無難な人生

苦難のある人生は有難い人生

倫理経営のすすめ

代表取締役 上能 喜久治


明けましておめでとうございます。

誰でもどこでもできる・・・


 2020年オリンピック開催地が東京に決定し、東日本大震災の復興需要とも重なって建設・土木業界が活況になってきています。消費税増税の影響もあり、あるハウスメーカーの9月度の受注高はなんと前年対比4倍というところもあります。職人不足で押し寄せる注文に応じることができず、受注をストップしている会社もあります。

 景気がよくなってきたから、業界が活況を呈してきたから自分の会社の業績も良くなってきた、というのは決してあなたの経営力ではありません。ではどうすれば会社は成長発展を続けられるのでしょうか?

 難しくありません。当たり前の次の五つの実践をして下さい。それだけで会社の業績は驚くほどあがってきます。

         1)      時間を守る・約束を守る・納期を守る

 これで信用が付いてきます。時間に遅れる・約束を反故にする人が信用されることはありません。納期を厳守するから次の受注も実現します。

          2)   働く喜びに生きる

 今のあなたの仕事が天職だと思っていますか?天職とは「この仕事をするために自分は生れてきたのだ」と心から思うことです。

        3)     ヒト・モノ・カネを大切にする

 家族や社員の誕生日を知っていますか?出荷される商品を我が子を見送るがごとく送り出していますか?気分良くお金を使っていますか?

          4)      全てのものに感謝する

 あなたを産み、育てていただいたご両親やご先祖に感謝します。いま、いただく食事に感謝します。寝る時の暖かい毛布や布団にも感謝します。

           5)    夢・希望・目標を持つ

 夢があるから生きる勇気が湧いてきます。希望があるから明るい未来があります。目標があるから一歩踏み出せるのです。

 先日、長野県でNo.1のタクシー会社である中央タクシーの宇都宮会長のお話を聴いてきました。「難しい社員教育はしていません。ドライバーの皆さんに次の三つだけ、お願いしています。①運転席から降りてドアを開ける。②お客様に自己紹介する。③雨の日には屋根のあるところまで傘をさして送る。」その三つを実践して業績を大きく伸ばされています。業績の向上は意外とシンプルな実践の中にあります。

 

 今年も貴社と貴方にとってすばらしい一年となることを心より祈念しております。

長続きする会社

代表取締役 上能 喜久治

目には見えないが・・・

 

 「長続きする会社が多い国はよい国だと思う」という生命保険会社のCMがあります。それではどうすれば会社は長続きするのでしょうか?以前から企業30年説があります。これは創業者が設立した会社を二代目に引き継ぐことの難しさを表しているとも言えます。創業者が二代目に是非教えてほしいことは信用の大切さと感謝の心です。
 時間を守る。約束を守る。納期を守る。実に単純で誰にもできるようなことが出来ていない会社やお店が多いことに驚きます。支払いの期日や金額さえ守らない会社がどうして信用できるでしょうか!得意先から入金がないから支払いをしない、という社長がいます。そのことでその会社やその社長に対する信用がどんどんと下がっていることに気付かないのです。建設業界では見積もりの時に値引きされ、支払いの時にまた値引きされる、と聞きます。約束をして合意した支払期日や支払金額はどんなことがあっても支払わなければならないのです。契約書があろうが口約束であろうが約束は守らなければならないのです。言い訳をしてその支払期日に支払わず、難癖をつけてその支払金額を値引きしたり、支払わなかったりすることがその会社や社長に対して信用を下げていることが見えていません。信用は目には見えません。信用を培っていくのは一歩一歩です。信用は貸借対照表や損益計算書の決算書には表せません。目には見えません。だからこそ何よりも大切に、大事にしなければならないのです。

 

信用と感謝のこころ

 

 信用と同じように目には見えませんが大切なものが感謝の心です。お蔭さまで、という謙虚な姿勢です。今の会社があるのは誰のお蔭でしょうか?あなたを今日まで育てていただいた親であり、あなたを今日まで支えていただいた奥様であり、献身的に働いてくれた社員やスタッフであり、取引していただいているお客様であり、仕入先であり、取引銀行であり、地域の人たちです。そのように多くの人に支えられて今の会社があり、今のあなたがいます。その感謝の心を持ち続けるとともに、その感謝の心を形にすれば相手に伝えることができます。親や奥様に対しては感謝の心を言葉にして手紙やプレゼントを、社員やお客様に対しては感謝状や記念品を贈呈します。「ありがとうございます」「感謝しております」という言葉とともにその想いを感謝セールや感謝デーを設けて形にすることもできます。
 長く続く会社とは大きい会社ではなく、強い会社でもありません。信用を大切にし、感謝の心を持ち、それを後継者にしっかりと伝え、実践している会社です。そのような会社こそが支持され、応援され、“大切にしたい会社”となり、長く続く会社になっていきます。

 

経営計画の立て方

代表取締役 上能 喜久治

過去の延長線上に未来があるのではない!

 経営計画を立てる上に於いて大きな注意点があります。それは過去の延長線上に将来があるのではない、ということです。たとえば今まで順調に業績を伸ばしてきた会社があります。売上の伸びは過去平均で10%でした。その会社が今後もその伸び率で成長発展していくという保証は何もありません。その会社のこれからの業績は過去の延長線上にはありません。5年先・10年先の我が社のあるべき姿を思い浮かべ、それを数値化し、それを実現するために今期は何をしなければならないのか、何をしていくのか、という戦略を立て戦術を具体化していきます。
 どこの会社も問題が山積しています。問題のない会社などありません。私が今まで多くの会社を見ていて感じるのは業績が伸びている会社ほど問題が多いものです。それは売上が上がり、人が増え、借入金も多額なものになっていきます。それに伴い、多くの問題・障害・トラブル・クレーム等が生じてきます。これから逃げてはいけません。それを楽しむのです。チャレンジすること・アタックすること・トライすることを楽しむのです。そのような問題を乗り越えるたびにあなたは一回り大きな経営者になっていきます。もしあなたがそのような多くの問題に直面するのがいやなら何もしないことです。何もしなければそのような問題は大幅に減少します。そして何もしないから業績も当然に下がっていきます。失敗を恐れるのなら何もしないことです。何もしなければ成功することもありませんが失敗することもありません。失恋をしたくなければ恋愛をしないことです。断られることがいやならプロポーズしないことです。その結果、結婚もあり得ません。

事業経営はそのすべてが楽しい!

 今、あなたは会社を、お店を、病院を、クリニックを経営することを楽しんでいますか?仕事を通じて多くのお客様や得意先、患者さんやその家族に喜んでいただき、地域や国の発展に貢献していく。なんとすばらしいことでしょうか!いやなこと・しんどいこと・苦しいこと・つらいこともあります。しかし、それ以上に仕事には喜び・やりがい・感動があります。体を動かし、汗を流し、頭を使い、周りの人やものに感謝し、その結果としてお金と言う報酬までいただけます。人の成功をねたむのではありません。人の成功を願うのです。人の幸せを祈るのです。
 「事業は、その計画が楽しく、準備が楽しく、出発が楽しく、遂行が楽しく、苦難に直面して楽しく、発展が楽しく、消長隆替つねに楽しい。」(「倫理経営原典」)
 働くことが楽しいということは人生が、生きることが楽しいということです。「こんな会社にしたい!」というあなたの強い想いを経営計画書にしたためればそれは必ずその通りになります。

機械や商品に語りかけよう!

代表取締役 上能 喜久治

篤農家と名職人の共通点!

 おいしい野菜や果物を作る人や牛や豚の家畜をりっぱに育てる人を篤農家(とくのうか)と言います。その篤農家と言われる人たちの共通点は自分が育てている野菜や果物・家畜を見ただけで“いま、何を欲しがっているのか?”“どうすればそれらが喜ぶのか?”が瞬時にわかるのです。また、毎日、それらのものに対して慈しみ、語りかけるのです。
 以前に一本の苗から一万個以上のトマトを栽培する篤農家のお話をお聴きしました。水耕栽培の器械を開発されたその人はこう話されていました。「この器械で栽培すれば誰でも多くのトマトが採れるわけではありません。そのトマトと話ができるようになる必要があります。」植木職人はその手入れをする松に、旋盤工などの職人はその機械に語りかけ、話ができるのです。植物や動物だけでなく、機械や道具に語りかけ、話ができることが篤農家と名職人の共通点です。
 自分の愛車を「セブン号」と呼ぶ友人がいます。彼の家族は夫婦二人と子供四人の六人家族です。七人目の家族という意味でセブン号です。新車が来れば家族全員で“入車式”をします。「あなたは私たちの七人目の家族です。あなたと共にいっぱいの楽しい思い出をつくっていきましょう!」と言ってその車を迎えます。その彼はなんとずっと無事故無違反です。

商品や土地にも話かける!

 あなたの会社が製造業なら出来上がった製品を出荷するときに「多くの人のお役に立って下さい。」と語りながら一礼をして見送って下さい。それだけでその製品の品質はさらに向上し、その製品は飛ぶように売れていきます。
 十三年前に当社の近くの国道一号線沿いの角地に誰も使っていない五階建てのビルが建っていました。「こんないい場所になぜ誰も使っていないビルがあるのだろう?」と思っていました。“土地が泣いている”そう感じていました。そのビルの前を通るたびに“好きやで!好きやで!”と言っていました。「上能さんが話をされていたあの場所が、あの土地が今、売りにでていますよ!」と銀行から話があり、その土地を取得することができました。
 売上を上げる・利益を出す・品質を高める・技術を磨く。そのためにノウハウやテクニックを学ぶことも決して無駄ではありません。だたし、経営はそれだけではありません。あなたの会社や工場・お店に入る時や出る時に一礼をする。機械を動かす時に「今日も一日、よろしくお願いします。」と語りかける。トイレを使えば便器や水に感謝する。そのようなことの実践があなたの会社が、お店が多くのお客様・得意先等から支持され、繁盛していきます。

わがままを捨てる!

代表取締役 上能 喜久治

ただ詫びるだけ!

 ここ3~4年、なぜか右足が上がりにくく、正常に歩くことができません。多くの人から「痛そうに足を引きずって歩いている」と言われますが当の本人は全く痛みがなく、ただの加齢によるものと軽く考えていました。いろんな検査をしましたが異常はありません。 (平成24年7月号「病気は自分が治すのだ!」)
 自分の歩行がおかしいので人の歩き方を注意深く見るようになりました。すると私と同じような歩き方をしている人を見かけます。その人たちを見ていてやっと最近になってその原因がわかってきました。
 先日、病院の待合室で私と同じような症状の人がいました。年齢は70歳ぐらいの方でご夫婦ご一緒に来られていました。男性の足が少し不自由で、奥様とみられる女性が付き添いでおられました。その老夫婦の会話を傍でみているとその男性はとにかくわがまま言いたい放題なのです。女性の方はもう聴き慣れているのか、その言葉に反発することもなく「はい、はい」という感じでした。その二人の姿を見、会話を聴いていてはっと自分自身のことにはっと気づきました。私も全くその老夫婦の男性と同じなのだ、ということを・・・。
 とにかく本当にわがままな自分でした。言いたいことを言ってきました。言われた相手がどんなに傷つくか、どんなにいやな気分になるかを考えることなどしていませんでした。言いたいことを言い、やりたいことをやり、行きたい所へ行ってきました。人からは決断力があり、行動力があり、リーダーシップがある、と言われ、自分でもそう思っていました。しかしそれは見方を変えれば私の“わがまま”に他なりません。このようなわがままな私に35年以上連れ添ってくれた妻に心からお詫びします。また、私のようなわがままな社長のもとで働いていただいている社員のみなさんにも心からお詫びします。

わがままとリーダーシップの違い

 私とよく似たわがままな社長をみると「この会社の社員は大変だろうな」「この社長の下では働きたくないな」と思います。社長であるその人をよくみると実に私とそっくりなのです。それではわがままとリーダーシップの違いはどこにあるのでしょうか?会社を経営したり、組織を運営したりしていると怒りたいこと・嘆きたいことがあります。どんなにきつく怒っても部下から慕われるトップがいます。それは自分のわがままで怒るのではなくその部下のため・会社のため・顧客のため等であることがわかるからです。わがままとリーダーシップは紙一重です。今までの自分のわがままを心から詫び、理念とビジョンを明確にし、自分のまわりの人たちの幸せを強く願ったときに真のリーダーシップを持ったリーダーが誕生します。