JSK通信

結婚と就職と経営の共通点

代表取締役 上能 喜久治

求めるだけでは好転しない

 

 日本の少子化傾向が叫ばれてかなりの時間が経ちました。国も少子化対策担当大臣を中心にいろいろな施策を打ち出していますが、なかなか効果が上がりません。私が知る30歳から50歳の男女でも多くの独身者がいます。そのような独身女性の声を聞くと、「結婚したいが、いい男性がいない」と言います。ではどのような男性がいいのか?と尋ねると、「優しい人」「経済力のある人」「包容力のある人」という答えが返ってきます。この話を聞くたびに求職中の人の声と経営者の声がダブって聞こえてきます。

 

 就職活動中の学生や転職で求職中の人にどんな会社に就職したいのか?と尋ねると「安定した会社(役所)」「給料のいい会社」「福利厚生がしっかりした会社」がベスト3でしょうか。経営者なら「もっと売上を上げたい」「もっといい人材が欲しい」「もっと資金繰りを楽にしたい」と言われます。素敵な男性と結婚したい独身女性、いい会社に就職したい学生、もっと業績を上げたい経営者。全く立場も異なり、年齢も違うこの三者に共通しているものは何でしょうか?

 

相手のために自分は何ができるのか?

 

 その共通点は、いずれも自分の立場から見ていることです。いずれも相手がいます。独身女性なら結婚相手。求職中の人なら就職する会社。経営者ならお客様や社員の人たち。その相手のためにあなたは何をしてあげるのですか?その相手が喜ぶことをするのです。その相手の役に立つことを行うのです。あなたが相手に求めるのではありません。あなたがその相手に何をしてあげるのですか?

 

 多くの人は自分の立場や、自分の視点から人や物事を見ています。その立場、その視点を自分の側からではなく相手の側から見るのです。独身女性なら年収の多い男性を求めるのではなく、今は年収が低くてもその男性を支え続けて行けばやがて大きな花が咲いてきます。もし私が就職活動中の学生なら安定した会社、つまり大会社や役所を選びません。安定した人生なんて楽しいでしょうか?そもそも安定した会社などありません。大会社も役所も明日はわかりません。変化のある会社にこそやりがいも見いだせるものです。変化のある人生がおもしろいのです。あなたが経営者なら売上や利益を求めるのではなく、もっとお客様や社員が喜ぶこと・お役に立つことをしていくのです。お客様や得意先、社員や取引先に喜ばれ、支持されている会社の業績が伸びないはずがありません。

 

 二宮尊徳先生が、弟子に示した“たらいの水”の例話のように水を自分のほうにかきよせるとその水は逃げて行き、相手のほうにと押しやれば自分のほうに返ってきます。(丸山敏雄「万人幸福の栞」P83)

結婚も就職も経営もまた同じことが言えます。