JSK通信

成長しているのか?膨張なのか?

代表取締役 上能 喜久治

年輪経営とは

 先日、当社の第7回日本一セミナーで長野県にある伊那食品工業に行ってきました。寒天の製造メーカーで、48期連続増収増益増員を実現したことで、今注目されている企業です。5月16日の早朝、7時半すぎに本社に到着。まるでリゾートのようなすばらしい環境の下にその会社はありました。すでに多くの社員が3万坪ある広大な敷地をみんなで掃除していました。8時20分に朝礼開始。我々も参加させていただきました。その後、塚越会長の90分にわたるお話をお伺いしました。
 「売上を上げていくことが会社の成長ではない。会社の成長とはそこに働く社員が何か一つでも“うちの会社、去年よりも良くなった”と感じることが成長しているということである。売上を上げていっても社員の人たちが“良くなった”と感じていなければそれは成長ではなく膨張しているだけである。その典型がアメリカのGMである。また急成長するのはよくない。毎年、着実に少しだけ売上・利益をあげていく。決して無理をしない。それを“年輪経営”“身の丈経営”という。」

自分の命日を書き入れる

 「新入社員教育には100年カレンダーと教育勅語を使っている。100年カレンダーにその新入社員自身の命日を記入してもらう。“あと何回この桜を見れるだろうか?”人の命には終りがあることに気付いてもらう。そして生きている間、働ける間に一所懸命に生きる、一所懸命に働く。教育勅語には親を大切にする。先祖を敬う。兄弟仲良くする。等、人として当たり前のことが書かれている。それを新入社員教育に活かしている。」
 「50年前は日本で一番、貧乏な会社であった。だから社是は“いい会社をつくりましょう ~たくましく そして やさしく~”である。」「稼ぐのが上手な経営者は多いが使うのが上手な経営者は少ない。二年毎に全社員で海外旅行、毎年、年功序列で昇給している。」
 「会社の営業活動とは会社のファン作りである。多くのファンを作ること。」このように話される塚越会長は強い信念を持ったすばらしい経営者でした。寒天という地味な商材であるにも拘わらず、常に新商品を研究開発し、需要を創造しています。また、そこに働く社員の人たちはいきいきと輝いていました。決して急成長をしない。無理をしない。そこには中小企業が事業継続していくための大きなヒントがありました。


あなたの会社は着実に成長していますか?それとも社員の成長を伴わない単に売上があがっているだけの膨張でしょうか?