代表取締役 上能 喜久治
かつて所得番付があった!
今、確定申告真っ盛りです。電子申告が普及してきたため、税務署の窓口も以前ほどの混雑はありませんが、それでも多くの人が医療費控除や住宅ローン控除を受ける為に並んでいる姿を見かけます。この時期は税に関する関心も高く、“どうすれば支払った税金が戻ってくるのか?”という特集を載せた雑誌も書店の店頭に多く並べられています。納税は国民の義務とはいえ、少しでも税金を安くしたい、という想いはみんな持っているものです。
しかし、いくら節税をしても所得が多く、多額な税金を納めている人もいます。以前は多額納税者の公示制度があり、所得税額1千万円超の人や所得金額4千万円超の法人が所轄税務署で公示され、毎年5月頃に前年の高額納税者が話題に上りました。第一位は誰で、スポーツ界では誰が第一位で、芸能界では誰が第一位なのか、が新聞記事になりました。また、法人では「日本の納税ベスト7万社」などという雑誌が年に一度、発行されていました。この公示制度も個人情報保護という観点からなくなりました。
納税意欲の高揚を!
民主党政権では今年度の税制改正で個人の最高税率を従来の50%(所得税40%+住民税10%)から55%に、相続税の最高税率も従来の50%から55%にしようとしています。つまり、金持ちや資産家からもっと税金を支払ってもらおう、としています。私は税理士として多くの経営者や資産家の確定申告をさせていただいています。そのような人は実に多くの税金を支払っていることを知っています。そしてそれらの税金が国家財政に役立ち、国際貢献に使われています。ところがどれだけ多額な納税をしても税務署から、国から、都道府県や市町村から「多額な納税をいただき、ありがとうございました!」と言われることは全くありません。多額納税者に対して税務署長から、知事から、市長から感謝のお手紙をもらった、と聞いたことがありません。税法で決められたことだから多額納税でも当たり前とでも思っているのでしょうか?
先日、円高等の影響でこの24年3月期の赤字額がパナソニック7800億円、シャープ2900億円、ソニー2200億円と発表されました.このような大企業でも赤字であれば法人税はゼロです。
私は多額納税者に対してせめて感謝状の一枚でも贈呈してあげてほしいのです。小学生の頃、先生から花まるをいただいたときの感動をいまでも覚えてい
ます。感謝状など安いものです。その一枚で納税意識が高まり、「また来年も多くの税金を納めよう!」と決意していただけるのです。
感謝するから感謝される!
国も地方ももっと感謝状を出して納税意欲を高めて欲しいものです。