代表取締役 上能 喜久治
「臭いものにふた」では国も社会もよくならない!
航空幕僚長を解任された田母神俊雄氏の講演会に先日、行く機会がありました。いわゆる「村山談話」に反する論文を発表した、ということで国会にも参考人として呼ばれ、与野党からもマスコミからも総バッシングでした。“幕僚長としての立場をわきまえていない”とか“226事件や515事件につながる発言”という論調でした。同じようなことが麻生内閣が発足してすぐに中山国土交通大臣が「日教組糾弾発言」をして事実上、解任された事件がありました。いずれも議論の投げ掛けであり、ここから世論が盛り上がるのに、その前にさっさと解任では何も言えなくなってしまいます。
“非核三原則”のわが国では核の議論さえタブーになっています。今の国際社会では核保有が外交力を高める大きな要因であるにもかかわらず・・・。「福祉・人権・平和」という言葉を振りかざされると何も言えなくなります。個人情報保護法の施行の結果、最近ではクラス名簿も発行されず、誰がいるのか、どんな人がいるのかさえ、わからないと聞きます。それに対して多くの人が行き過ぎたこと、と感じているのに言えない、論じられない社会の風潮があります。これでは国も社会もよくなることはありません。
嘗てない不況からは嘗てない革新が生まれる
これは経営の神様といわれた松下幸之助氏の言葉です。ここでいう革新が生まれるには社長だけではなく、役員・幹部・社員を巻き込んだ議論が必要です。この場合、何を言っても許される自由闊達な社風が前提となります。会議やミーティングでの発言や提案が誹謗中傷を除き、その内容で降格や減給があったのではとても活発な意見が出るはずがなく、多くの出席者はその時間を何も言わずに過ごすことでしょう。そして会議が終わってからこそこそと批判したり、非難したりするのです。これでは昨今の厳しい経済環境を乗り切ることはできません。
ただ今の自分の保身だけを考え、ただ自分の今の地位だけを守りたいがために何も言わず、何もせず、そして何の影響も与えずにいる政治家や役人、学校の先生や会社の役員・幹部が多くいます。そのような人は自ら自分の存在価値を否定しているのと同じであることにさえ、気付かないでいます。
自分の信念に基づいて発言し、行動し、多くの人々によい影響を与えていく。非難を恐れず、地位に執着せず、決して世論に迎合することなく、歴史を学び、世界を知り、使命感と誇りを持ってりっぱな経営者、すばらしい日本人として生きる。
あなたにこそ、そのように生きていただきたいのです。経営者であるあなただからこそ、影響力のあるあなただからこそ、マスコミに左右されることなく、景気に、業績に一喜一憂することなく、正々堂々と大道を歩んで下さい。