JSK通信

人材育成は担雪埋井

代表取締役 上能 喜久治

見返りを期待しない

「そんなに人材育成にお金と時間をかけて辞められたらどうするんや?」そう言ってくれる人がいます。
“辞められたらどうする”なんて考えていたら人材育成なんて到底できません。人材育成には常にリスクが伴います。
将来を大いに期待していた人材が意に反して退職することもあります。
辞めていった人材が自分が担当していた得意先を回り、元の勤務先の会社やトップの悪口を言いふらし、あるいは値段を安くして営業することなど日常茶飯事であることです。
しかし一つ言えることは人材がいなければ何もできないし、逆に人材が育てば会社は何でもできるのです。
人材育成は決して見返りを期待してはいけないものだ、と私は考えています。見返りとは、いずれその人材が売上を上げ、利益をもたらし、会社の発展に寄与してくれることを期待することです。見返りを期待するから期待通りにならなかったときのショックや落胆が大きいのです。
辞めていってもいいではないですか!裏切りがあってもいいではないですか!なぜなら人材育成とは担雪埋井(たんせつまいせい)なのです。“雪を担って井戸を埋めるがごとく”です。雪で井戸を埋めようとしてもなかなか井戸は埋まりません。つまり人材育成は報われないもの、結果を期待してはいけないものなのです。

かつてあなたもそうだった

今、経営者であるあなたもかつてはそうでした。あなたが勤めついた会社の上司から、トップから期待されていたにもかかわらずある日、その会社を辞め、今のあなたの会社を設立したのではないのですか?その会社はあなたに多大なお金と時間を投資してくれたのではないのですか?
 あなたが今、あなたの会社の人材を育てることはあなたをここまで育てていただいた多くの人々に対する恩返しなのです。それはあなたの両親があなたを育て、あなたがあなたの子供を育てていくのと同じです。子育ても何の見返りもありません。しかし、子育てには大変さの中に大きな感動があり、両親への感謝があり、自分自身の成長があります。

見返りを期待せず、多くの人材を育てて下さい。
それが企業の使命であり、多くの人や世の中への恩返しなのですから・・・