代表取締役 上能 喜久治
物価も株価も地価も
去る7月1日に平成22年の路線価が発表されました。この路線価とは今年中に土地を贈与したり、相続した場合にその土地の評価をするときに使うものです。今年の路線価は前年の平成21年に比べて大阪府平均で9.4%下落しました。このように今、地価や家賃の下落が続いています。株価や物価も上がりません。製造業や建設業では見積もりの依頼はあるがなかなか受注につながらない、と聞きます。このようなデフレ経済でも悪いことばかりではありません。多くの企業にとって最大の経費である人件費も下がっています。また、借入金の金利も日銀のゼロ金利政策で過去最低の水準で推移しています。さらに円高により輸入価格も下がります。
ところが人件費を下げようと経営者が思っても就業規則や賃金規定を改定しないと多くの企業の賃金規定は定時昇給の定めはあっても減給の規定はありません。売上単価が下がり、粗利益率が下がれば当然に経費を下げなければ企業経営は維持できなくなります。つまり、インフレ時代につくった諸規定は随時、企業環境の変化に対応して変更していかなければなりません。また、社員を始め取引先や取引銀行の協力も不可欠です。ところが厳しい企業環境は経営者であるあなたほど社員は感じていないかも知れません。春になれば雪が解けるのが当たり前のように春になれば昇給するのが当たり前、と思っています。経営の厳しさを具体的に、かつ解りやすく伝えて協力をお願いしなければなりません。その協力がなければあなたの会社は赤字どころか倒産の危機さえ現実味を帯びてきます。
デフレを活かそう!
昨今のデフレ経済のもとでは売上単価も下落しますが仕入単価も下落するのが通常です。ところが仕入も人件費も家賃も借入金利も相手から“下げます”とは言ってきません。つまり、仕入先や社員、取引銀行等に協力をお願いしなければなりません。
また、地価が下落しているため収益物件の不動産の単純利回り(予想年収家賃÷取得価格×100)が10%以上というのも珍しくありません。つまり不動産取得の大きなチャンスの時期です。ただし不動産ならどこでもよい、というのではありません。私は常々”不動産は動産”と言ってきました。不動産を取得するなら駅から5分以内、または幹線道路沿いに限ります。それならいつでも売却できるからです。いつでも換金できるからです。株価も大きく下落している今、取得する銘柄さえ間違わなければさらに下落する確率は低く、上がる確率は高いのです。経済は常に動いています。その経済の動きを上手に活かせばあなたの会社経営とあなたの財産形成に大きく寄与します。しかし、何もしない、ただ嘆いているだけではいつまでも幸せの女神様はあなたに微笑みません。