代表取締役 上能 喜久治
お金さえあれば幸せなのか?今がよければそれでよいのか?
我が国の日本は戦後の高度成長以降、とても豊かになりました。食材は豊富にあり、オフィスもお店も家も空調は完備され、蛇口をひねればいつでも水もお湯も出てきます。トイレはウォシュレットで温かい便座です。近くには24時間営業のコンビニがあり、それらが当たり前のように思っていました。しかし、この度の大震災で露呈したのはそれらは原子力発電所や石油タンクのような危険と隣り合わせの上に成り立っていることです。この震災は“もっと謙虚に”“もっと質素に”“物の豊かさより心の豊かさを”と天からの警告のように感じます。お金がすべての尺度となり、今が楽しければよい、自分さえよければよい、我が社さえ儲かればよい、といった風潮が蔓延していました。
「金だけ」という拝金主義、「今だけ」という刹那主義、「自分だけ」という利己主義はこの震災を契機にして断固として排除するよい機会となろうとしています。被災地の状況が世界に報道され、秩序ある行動・すばらしい礼節が驚きとともに絶賛されています。助け合い、励ましあい、手を差しのべ、自分に、自社にできることをする。これが農耕民族である本来の日本人ではないでしょうか?
強く、優しく、貢献する会社に!
東日本大震災ではジャパネットたかたの高田社長は5億円、ユニクロのファーストリテイリングの柳井社長は10億円、ソフトバンクの孫社長は100億円の寄贈をされました。“儲かっているから”“売名行為で”したのではありません。こういう時のために、こういう事があれば使おう、お役に立とう、という想いがまず最初にあったからです。“世の中のお役に立ちたい”という想いがあったからそれぞれの会社は大きく成長したのです。自分さえよければよい、我が社さえ儲かればよい、という想いで経営しているからいつまでも売上があがらない、資金繰りが苦しい赤字会社になってしまいます。
あなたは何のために会社を経営しているのですか?
あなたの会社は何を持って世の中に貢献していくのですか?
しっかりとした経営理念、世のため人のためにお役に立ちたいという想いが大切なのです。会社は公器です。そこには社員がおり、その家族がおり、得意先やお客様がおられ、取引先や取引銀行があり、株主や地域の人々がいます。地震や台風のような災害もあれば法律の規制もあります。だから強い財務体質にしておかなければならないのです。我欲だけで経営していては誰も助けてくれません。誰も手を差しのべてくれません。この度の大震災を契機にして経営の在り方、経営者の想いを今一度、考える機会にしてはいかがでしょうか。