JSK通信

目先の利益・信頼の喪失

代表取締役 上能 喜久治


信頼・協調してこそ業績も給料も上がる!

 

  政府が推進する「働き方改革」も影響して残業手当の算出方法や有給休暇の取得などについて従業員から会社に対する要望が強くなり、労働基準監督署からの勤務実態の調査や労働組合の結成、弁護士からの請求等が多くの会社で見受けられます。中には過去二年間にさかのぼって総額数千万円の残業手当を支払った会社もあります。一人当たりの支給額はさほど多くはないものの、過去二年間と従業員全員なので支給総額が多くなります。会社として法令を遵守するのは当然ですが多額の出費を伴う経費の増加は経営基盤の弱い中小企業にとって倒産の一因となったり、業績や資金繰りの悪化を招きます。
 しかし、それ以上に大きいのは会社と従業員との信頼関係の喪失です。マスコミやネットで得た知識や情報で他の従業員を巻き込み、会社に対して就業規則や賃金規定について説明を求めたり、法律に準拠していない項目を指摘してきます。権利を主張し、過去にさかのぼって賃金を要求すれば一人当たりいくらかの支給があります。目先の利益にはなりますが会社と従業員の信頼関係が大きく崩れ、失ったものは会社にとっても、従業員にとっても計りしれず大きなものとなります。

 

不足不満・怒り・疑念からは何も生まれない!

 

 かつて当社も従業員一人だけの労働組合が設立されたことがありました。その従業員から「労働組合結成通知書」と「団体交渉申入書」が提出されました。“ 組合員は一人だけなのに団体交渉というのもないだろう。”と思っていました。そうするとその時間になり、その上部組織の委員長・副委員長・書記長と名乗る全く初対面の男性三人が団体交渉の席上に入ってきました。なんと、当社の従業員でもない人がその団体交渉に同席できるのです。上部組織はプロであり、何度も労使交渉を経験した人たちです。私にとっても当社にとっても初めての経験です。結局、その従業員は組合結成後、三か月で退職することになり、労働組合は自然消滅しました。その間、団体交渉2回、地労委の調停1回、事務所前でのビラまき1回がありました。その組合員退職後の最初の全体会議の席上、「誰一人として彼に同調する者はおらず、このことに対して心から感謝しています。」と話しました。
 これで一件落着しましたが、その組合員であった当社の元従業員からは何の連絡もありません。私や会社との信頼関係を自ら壊し、その結果、大きな損失をしたことに気付いているでしょうか?縁を自ら断ち切っていてはよい人生は送れません。縁を生かしてこそ、すばらしく豊かな人生となります。


目先経営から脱却しよう!
目先の利益より信頼・信用を大切にした人生を送ろう!